会社の状況や制度対応に合わせて「決算月を変える」という選択肢があります。
繁忙期を避けたい、制度の有利な期間をフル活用したいなどメリットもありますが、一方でデメリットや注意点も存在します。
1. 定款変更の手続きが必要
決算月が定款に書かれている場合、決算月を変更するには、株式会社では株主総会の特別決議による定款変更、合同会社では原則として総社員の同意による定款変更が必要です。
登記申請は不要ですが、議事録を残し、定款を修正する手続きが発生します。また、税務署などへ異動届出書(事業年度の変更)を遅滞なく提出する必要があります。
2. 変則決算が発生する
変更した年だけ事業年度が短くなる(または最長1年6か月まで長くなる)ため、一度だけ変則決算が生じます。長くする場合でも、法人税では1年ごとに区切るため申告が2回必要です。このため、税務申告や経理処理が通常より複雑になり、経理担当者や顧問税理士の負担が増えます。
また、1年に満たない事業年度では、法人税の軽減税率が適用される所得の枠(年800万円)や交際費の定額控除の枠(年800万円)が月数で按分されて小さくなります。消費税の納税義務の判定でも、基準となる事業年度が1年未満の場合は売上高を1年分に換算して判定するため、思わぬ影響が出ることがあります。
3. 過去との比較がしにくくなる
決算月を変えると「前年同月比」や「過去の業績推移」の比較が難しくなります。
特に金融機関に決算書を提出する際には、業績の継続性を説明する補足資料が必要になる場合があります。
4. 銀行評価への影響
銀行は決算書を基に格付けや融資判断を行います。
短期決算で売上や利益が例年より小さく表示されると、一時的に格付けが下がるリスクもあります。
ただし、事情を説明すれば補正して評価されるケースが多いですが、説明責任が増える点には注意が必要です。
まとめ
決算月を変更することで得られるメリットもありますが、
- 定款変更の手続き
- 変則決算による事務負担
- 銀行や取引先への説明責任
といったデメリットがあることも理解しておく必要があります。
決算月の変更は慎重に検討し、専門家に相談しながら判断することをおすすめします。
※本記事は令和8年9月18日現在の法令・国税庁公表資料に基づく一般的な説明です。実際の取扱いは、個別の事実関係によって異なります。