飲食店を経営していると、レジに入っている現金(レジ金)から備品を買ったり、ちょっとした経費を支払ったりすることがあります。
「小額だから問題ないのでは?」と思いがちですが、レジ金を経費に使うことには会計上・税務上のリスクが潜んでいます。
この記事では、飲食店におけるレジ金管理の注意点と、税務調査でトラブルにならないための正しい対応を解説します。
レジ金から経費を支払うメリット
- 備品購入や急な出費にすぐ対応できる
- 小口現金を別に用意する手間が省ける
現場では便利な方法ですが、実は税務リスクが高い運用です。
レジ金から経費を出すデメリット・リスク
- 帳簿ズレの原因になるレジ金には「釣銭用現金」と「売上代金」が混在します。そこから経費を支払うと、帳簿と残高が一致しなくなることが多いです。
- 税務調査で売上除外を疑われやすい飲食業は現金商売のため、税務調査では特に厳しくチェックされます。レジ金から経費を出していると、「売上を抜いているのでは?」と疑われる典型的な事例です。
- レジ金残高の管理が煩雑になる日々の釣銭と売上を明確に区分していないと、現金が合わなくなり、従業員とのトラブルや管理ミスの原因になります。
飲食店がとるべきレジ金管理の正しい方法
- レジ金は「売上と釣銭専用」に限定する経費は「小口現金」を用意して別管理するのが基本です。
- どうしてもレジ金から支払う場合のルール
- 出納帳に「日付・金額・用途」を必ず記録する
- 領収書を受け取り、経費精算とセットで保管する
なお消費税では、基準期間(2年前)の課税売上高が1億円以下(または特定期間の課税売上高が5,000万円以下)の事業者であれば、令和11年9月30日までに行う税込1万円未満の仕入れは、インボイスがなくても帳簿の記録だけで仕入税額控除ができます(少額特例)。ただし、法人税・所得税の証拠書類としても必要なので、領収書やレシートは受け取って保存しておきましょう。
- 釣銭は固定額を維持する例:30,000円を毎日キープし、過不足が出ないように管理する。
レジ締めの記録を毎日残す
事前の連絡(事前通知)をすると正確な税額の把握が難しくなるおそれがあるなどと判断された場合には、事前の連絡なしに調査が行われることもあります(国税通則法74条の10)。現金取引をしていることだけで事前通知が省かれるわけではありませんが(国税通則法第7章の2関係通達5-7)、現金取引の多い業種では、売上の記録を日頃から残しておくことが特に大切です。
そのような場合でも説明できるよう、レジの売上集計(Zレシート・日計表)、現金の実査額、釣銭の額、レジ金から支払った経費を毎日記録し、保存しておくことが大切です。
よくある質問(Q&A)
Q1. 飲食店のレジ金から経費を払ってもいいの?
A. 原則としておすすめできません。税務調査で売上除外を疑われるリスクが高いからです。
Q2. どうしてもレジ金から経費を払う場合は?
A. 出納帳の記録と領収書の保存を徹底してください。
Q3. レジ金はいくら準備しておけばいい?
A. 一般的には30,000円〜50,000円が目安。居酒屋のように客単価が高い業態では、50,000円〜100,000円を準備すると安心です。
Q4. 小口現金とレジ金はどう違うの?
A. レジ金は「売上と釣銭」の管理専用、小口現金は「経費支払い」専用です。混在させずに分けるのがベストです。
まとめ
レジ金は「経費の財布」ではなく「売上と釣銭専用」として管理することが基本です。
便利さよりもリスク回避を優先し、どうしても経費に使う場合は、必ず領収書と記録を残すことを徹底しましょう。
レジ金の管理は、飲食店経営の信頼性を守る重要なポイント。日々の小さな工夫が、将来の大きな安心につながります。
※本記事は令和8年9月19日現在の法令・国税庁公表資料に基づく一般的な説明です。実際の取扱いは、個別の事実関係によって異なります。