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外注費が給与と判断されることも?税務調査で確認される5つのポイント

2026.07.15

建設業や運送業、飲食業などでは、個人の職人やスタッフへ支払った報酬を「外注費」として処理することがあります。

業務委託契約書を作成し、本人から請求書を受け取っていれば、当然に外注費として認められると思われるかもしれません。

しかし、税務上は契約書や請求書の名称だけで判断されるわけではありません。実際の働き方が従業員と変わらない場合には、外注費ではなく「給与」と判断される可能性があります。

外注費が給与と判断されると、源泉所得税と消費税の両方に影響するため、税務調査で指摘を受ける前に契約内容と勤務実態を確認しておくことが重要です。


外注費と給与は何が違う?

外注費は、請負契約や業務委託契約などに基づき、独立した事業者へ仕事を依頼した場合に支払う対価です。

一方、給与は、雇用契約またはこれに準ずる関係に基づき、会社などの指揮命令を受けて提供した労務の対価です。

簡単にいえば、依頼を受けた本人が自己の計算と責任で仕事を完成させている場合は外注費に近く、会社の指示に従って一定の時間働いている場合は給与に近くなります。

ただし、いずれか一つの条件だけで決まるものではありません。契約内容、報酬の決め方、時間的な拘束、指揮監督の状況などを総合的に見て判断します。


業務委託契約書があれば外注費になる?

業務委託契約書を作成していることは、契約関係を説明する重要な資料です。しかし、契約書に「業務委託」「請負」と書いてあるだけでは十分ではありません

例えば、契約書では業務委託となっていても、実際には次のような働き方をしているケースがあります。

  • 会社が出勤日と勤務時間を決めている
  • 会社の担当者が毎日の作業内容を指示している
  • 本人の代わりに別の人を働かせることができない
  • 報酬を作業の完成度ではなく、日数や時間で計算している
  • 材料や主要な道具を会社が用意している
  • 作業に問題があっても、本人がやり直し費用を負担しない

このような実態が重なると、契約書や請求書があっても給与と判断される可能性が高くなります

反対に、報酬が日額や時間単価で計算されているという一点だけで、直ちに給与と決まるわけでもありません。実際の取引全体を確認する必要があります。


税務調査で確認される5つのポイント

国税庁は、大工、左官、とび職などが受ける報酬について、請負による事業所得か、雇用に基づく給与所得かが明らかでない場合には、次の事項を総合的に勘案して判定するとしています。

1.本人以外の人が代わりに作業できるか

外注先が自分の判断で補助者や代替者を手配し、その人への報酬も外注先が負担する場合は、独立した事業者としての性格が強くなります。

一方、「必ず本人が働かなければならない」「休む場合は会社が代わりの人を手配する」という場合は、給与と判断される方向に働きます。

2.作業時間を拘束されているか

会社から始業・終業時刻を指定され、遅刻や早退について管理を受けている場合は、従業員に近い働き方です。

また、報酬が作業成果ではなく、働いた日数や時間数に応じて計算され、残業時間に応じて加算される場合も、給与と判断される要素になります。

もっとも、建設現場への入場時間など、業務の性質上必要となる時間の指定まで、すべて給与判定の根拠になるわけではありません。

3.具体的な指揮監督を受けているか

完成させる仕事の内容や仕様を発注者が示すことは、通常の請負でも行われます。

しかし、作業の順序、方法、担当箇所などについて毎日細かい指示を受け、その指示に従って作業している場合は、給与と判断されやすくなります。

外注先が自分の経験や判断によって作業工程を決めているかがポイントです。

4.仕事が完成しなくても報酬を請求できるか

請負では、原則として仕事を完成させる責任を負います。

例えば、引渡し前に成果物が壊れ、再度作業が必要になった場合に、追加報酬を受け取らず自らの負担で完成させるのであれば、外注としての性格が強くなります。

一方、仕事が完成していなくても、働いた日数や時間分の報酬を請求できる場合は、給与と判断される要素になります。

5.材料や主要な道具を誰が負担しているか

外注先が材料や機械、主要な道具などを自分で用意している場合は、独立した事業者としての性格が強くなります。

会社が材料や主要な機械を用意し、本人は一般的な手持ち工具だけを持参している場合は、給与と判断される方向に働きます。

ただし、材料や道具を会社が負担しているという一つの事情だけで、給与と決まるわけではありません。


外注費が給与と判断された場合の影響

税務調査で外注費が給与と判断されると、主に源泉所得税と消費税に影響します。

源泉所得税の追加負担

給与を支払う場合、会社は原則として支払時に所得税を源泉徴収し、国へ納付しなければなりません。

外注費として処理して源泉徴収を行っていなかった支払いが給与と判断されると、会社側に源泉所得税の納付を求められる可能性があります。状況によっては、不納付加算税や延滞税も発生します。

受け取った本人が確定申告をして所得税を納付している場合でも、会社の源泉徴収義務が当然になくなるとは限りません。税務調査では、本人の申告状況も含めた個別の対応が必要です。

消費税の仕入税額控除への影響

外注費が課税仕入れに該当し、インボイスの保存など必要な要件を満たしていれば、消費税の仕入税額控除を受けられます。

一方、給与は消費税の課税対象ではないため、仕入税額控除の対象になりません

外注費として消費税の仕入税額控除を受けていた金額が給与と判断されると、その控除を修正し、消費税を追加で納付する可能性があります。

つまり、外注費と給与の区分を誤ると、源泉所得税と消費税の両面で追加負担が生じることがあります。


具体例で確認

建設会社が個人の職人へ、1日2万円を「外注費」として支払っているケースを考えます。

職人は毎朝8時に会社へ集合し、会社が指定した現場へ向かいます。作業内容や順番は現場監督が指示し、材料や機械はすべて会社が用意しています。休む場合に代わりの職人を手配するのは会社で、残業した場合には1時間ごとに報酬が加算されます。

本人から毎月請求書を受け取り、業務委託契約書を作成していたとしても、この働き方は給与と判断される要素が多いといえます。

一方、職人が工事単位で報酬を請け負い、作業方法や人員を自分で決め、必要に応じて補助者を雇い、完成までの責任を負っている場合は、外注費としての性格が強くなります。

重要なのは、書類の名称ではなく、契約内容と実際の働き方が一致していることです。


外注先ごとに資料を整備する

外注費として処理する場合には、少なくとも次の資料を整備しておきましょう。

  • 業務委託契約書または請負契約書
  • 発注書・注文請書
  • 業務内容や成果物が分かる資料
  • 外注先から受け取った請求書
  • 報酬の計算根拠
  • 振込記録または領収書
  • 外注先が負担した材料費や経費の記録
  • 作業日報や現場記録

契約書だけを整えても、実態が従業員と同じであれば十分ではありません。契約内容と現場での運用に矛盾がないか、定期的に確認する必要があります。

また、現金で支払っている場合には、支払日、金額、相手方、対象となる工事などが分かる領収書や支払記録を残すことが重要です。


まとめ

外注費と給与の区分は、契約書や請求書の名称だけでは決まりません。

本人以外による代替が可能か、時間的な拘束を受けているか、具体的な指揮監督を受けているか、完成責任を負っているか、材料や主要な道具を誰が負担しているかなどを総合的に判断します。

税務調査で給与と判断されると、源泉所得税だけでなく、消費税の仕入税額控除にも影響します。

税理士法人アストラストでは、契約書、請求書、作業日報、報酬の計算方法などを確認し、外注費と給与の区分について実際の働き方に即して検討しています。建設業をはじめ、個人への外注費が多い岡山県内の事業者の方は、税務調査を受ける前に一度ご相談ください。

※外注費と給与の区分は、業種や個々の契約内容、実際の勤務状況によって異なります。本記事に記載した一つの条件だけで判断せず、取引全体を確認する必要があります。

参考資料

  • 国税庁「大工、左官、とび職等の受ける報酬に係る所得税の取扱いについて」
  • 国税庁「大工、左官、とび職等の受ける報酬に係る所得税の取扱いに関する質疑応答」
  • 国税庁「消費税基本通達1-1-1 個人事業者と給与所得者の区分」

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