建設業、製造業、設備工事業などでは、通常の工事代金や製品売上げとは別に、鉄くず、銅線、アルミ、加工くず、余剰資材などの売却代金が発生することがあります。
1回当たりの金額が小さく、現金で受け取ることも多いため、現場担当者や代表者が「廃材を処分しただけ」と考え、会社の帳簿に計上していないケースがあります。
しかし、会社の工事や製造工程から発生した廃材を売却したのであれば、勘定科目が売上高か雑収入かにかかわらず、原則として会社の収入として計上する必要があります。売却代金を社長個人の口座へ入金したり、そのまま現場の飲食代や備品代へ使ったりしても、会社の収入でなくなるわけではありません。
税務調査では、売上台帳だけでなく、廃材業者の買受明細書、計量票、現金受取書、銀行口座、仕入先からのリベート通知書なども確認されることがあります。本業以外の入金について、発生から入金、経費への使用、会計処理まで一貫して管理することが大切です。
「雑収入」でも法人税の申告対象になる
会社が事業活動によって得た収入は、請求書を発行した本業の売上げだけではありません。例えば、次のような収入も法人税の計算へ影響します。
- 鉄くず、銅線、アルミ、木材などの売却代金
- 製造工程から生じた加工くずや副産物の売却代金
- 工事で余った未使用資材の売却代金
- 使用していた機械、車両、工具、備品の売却代金
- 仕入先から受け取った数量リベートや販売奨励金
- 保険会社から受け取った保険金
- 国や地方公共団体から受け取った補助金・助成金
- 自動販売機、太陽光発電、駐車場などの付随収入
これらは、すべて同じ税務処理になるわけではありません。法人税では収入となる一方、消費税では課税売上げとなるもの、不課税取引となるもの、仕入税額の調整を行うものがあります。
したがって、単に「雑収入」という一つの勘定科目へまとめるのではなく、何を原因として受け取った金銭なのかを区分する必要があります。
鉄くずや廃材の売却代金は誰の収入か
廃材の売却代金が会社の収入か、役員・従業員個人の収入かは、名義だけでなく、廃材が発生した経緯や所有関係から判断します。
例えば、会社が購入した材料を使って工事を行い、その工事現場から生じた銅線や鉄くずを売却した場合、その廃材は通常、会社の事業活動から発生したものです。売却の手続を従業員が行い、廃材業者が従業員個人へ現金を支払ったとしても、それだけで従業員個人の収入になるとは限りません。
一方、元請会社や顧客との契約で、撤去物の所有権が発注者に残ることもあります。また、廃材を下請会社が取得することを契約で認めている場合もあります。誰の収入になるかは、次の資料や事実関係を確認して判断します。
- 工事請負契約書、見積書や仕様書
- 撤去物・残材の帰属に関する条項
- 元請会社や顧客との合意内容
- 会社の資材購入記録、廃材の発生場所
- 廃材業者との取引名義、売却代金の受取人
- 社内の廃材処分規程、過去からの処理方法
「廃材だから誰が持ち帰ってもよい」とは限りません。税務上の収入帰属だけでなく、契約上・民事上の所有関係も確認する必要があります。
税務調査で確認される資料
鉄くずや廃材の売却収入については、会社の総勘定元帳に計上された金額だけを確認するとは限りません。税務調査では、例えば次のような資料の提示を求められることがあります。
- 廃材業者が発行した買受明細書
- 重量、単価、金額が記載された計量票
- 現金受取書や領収書、廃材業者との取引履歴
- 会社名義の預金通帳、代表者や担当者が使用した入金口座
- 現金出納帳
- 工事台帳、現場別原価台帳
- 材料の仕入台帳、棚卸表
- 固定資産台帳、機械・工具・車両などの除却記録
- 産業廃棄物管理票や処分費の請求書
- 仕入先からのリベート通知書
- 保険金・補助金等の支払通知書
廃材業者側には、誰から、いつ、どの品目を、何キログラム買い受け、いくら支払ったかという記録が残っていることがあります。会社の帳簿に売却収入がなくても、取引先の記録や代表者への質問から取引が確認される可能性があります。
税務調査で聞かれやすい質問
調査担当者からは、次のような質問を受けることがあります。
- 工事現場から発生した鉄くずや銅線は、どのように処分していますか
- 廃材を売却するか、処分費を払って廃棄するかは、誰が決めていますか
- 廃材業者への持込みは誰が行っていますか
- 代金は現金と振込みのどちらで受け取っていますか
- 現金を受け取った後、会社へどのように入金していますか
- 買受明細書や計量票はどこに保存していますか
- 廃材代金を現場経費へ直接充てることはありますか
- 売却代金が代表者や従業員の口座へ振り込まれることはありますか
- 古い機械や工具を売却したとき、固定資産台帳から除却していますか
- 仕入先から受け取ったリベートをどの科目で処理していますか
その場で説明が変わると、処理方法そのものだけでなく、社内管理の信頼性について追加確認を受けることがあります。廃材の処分方法と会計処理を社内で統一し、担当者が変わっても同じ説明ができる状態にしておきましょう。
現金で受け取ったお金をそのまま経費へ使う運用の注意点については、飲食店のレジ金から経費を払っても大丈夫?税務調査で疑われないための管理方法もあわせてご覧ください。
廃材売却代金110万円を現金で受け取った例
岡山県内の製造会社が、製造工程から発生した金属くずを廃材業者へ売却したケースを考えます。廃材業者の買受明細書には、次の金額が記載されていました。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 金属くずの本体価格 | 100万円 |
| 消費税等 | 10万円 |
| 受取総額 | 110万円 |
会社は消費税の課税事業者であり、税抜経理を採用しているものとします。この場合、原則的な会計処理は次のようになります。
現金等110万円/雑収入等100万円・仮受消費税等10万円
ところが、代表者が110万円を現金で受け取り、そのうち60万円を私的な支払いへ使用し、残り50万円だけを会社へ入金していたとします。会社が50万円しか収入計上していなければ、廃材売却代金の残額が申告から漏れている可能性があります。
会社が計上すべき売却収入は、原則として会社へ実際に入金された50万円だけではなく、廃材業者から受け取った総額を基礎として判断します。
代表者が私的に使用した60万円については、事実関係に応じて、役員貸付金、仮払金、役員給与などの処理を検討します。役員貸付金として処理する場合には、実際の返済、利息、返済計画なども確認する必要があります。役員給与と判断される場合には、源泉所得税が必要となり、法人税では定期同額給与などの要件を満たさず、会社の損金へ算入できない可能性もあります。
単に次のように差額だけを売上げから除外することは適切ではありません。
受取総額110万円-代表者が使用した60万円=会社の収入50万円
収入の計上と、代表者による資金使用は、分けて処理する必要があります。
廃材売却と処分費を相殺している場合
廃材業者や産業廃棄物処理業者との精算では、売却代金と運搬費・処分費が相殺され、差額だけが入金されることがあります。例えば、精算書の内容が次のとおりだったとします。
| 項目 | 税込金額 |
|---|---|
| 金属くず売却代金 | 110万円 |
| 回収運搬・処分費 | 22万円 |
| 差引入金額 | 88万円 |
売却取引と運搬・処分サービスが別の取引であれば、差引入金額88万円だけを雑収入へ計上するのではなく、原則として売却収入110万円と運搬・処分費22万円を分けて処理します。消費税についても、売却に係る売上税額と、運搬・処分費に係る仕入税額控除をそれぞれ確認します。
ただし、契約上、運搬費等が売却価格そのものの値引きとして定められている場合など、取引の実質によって処理が異なることがあります。精算書の差引額だけで判断せず、売買契約、処分委託契約、請求書、インボイスなどを確認しましょう。
消費税では原則として課税売上げになる
国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡は、原則として消費税の課税対象です。会社が鉄くず、銅線、木材、余剰資材などを売却する取引は、通常、資産の譲渡に該当します。
鉄くずや廃材は軽減税率の対象ではないため、令和8年7月27日現在、原則として標準税率10%が適用されます。課税事業者が売却収入を法人税上の雑収入へ計上していても、消費税申告で課税売上げから除外してよいわけではありません。
一方、保険金、共済金、補助金、助成金などは、一般に資産の譲渡や役務提供の対価ではないため、消費税の課税対象になりません。
したがって、「雑収入はすべて消費税10%」「雑収入はすべて消費税対象外」という処理はいずれも適切ではありません。入金の原因ごとに消費税区分を設定する必要があります。
簡易課税では事業区分にも注意する
簡易課税制度を適用している会社では、廃材の売却収入をどの事業区分にするかによって、みなし仕入率が変わることがあります。
消費税法基本通達13-2-8は、第三種事業に該当する製造業等に係る事業に伴い生じた加工くず、副産物等の譲渡を行う事業は、第三種事業に該当するとしています。
同じ通達の後段では、第一種事業(卸売業)または第二種事業のうち小売業から生じた段ボール等の不要物品等の譲渡を行う事業は第四種事業に該当するとしたうえで、その事業者が、その不要物品等が生じた事業区分に属するものとして処理しているときは、これを認めるとされています。なお、この「不要物品等」からは、その事業者が事業の用に供していた固定資産等は除かれています。
また、会社が事業で使用していた車両、機械、工具、備品などの固定資産を売却した場合は、本業の種類にかかわらず、原則として第四種事業になります。
| 売却するもの | 原則的な事業区分 |
|---|---|
| 製造工程から生じた加工くず・副産物(第三種事業に伴うもの) | 第三種事業 |
| 卸売業・小売業から生じた段ボール等の不要物品 | 第四種事業(生じた事業区分で処理することも認められる) |
| 事業で使用していた車両・機械・工具などの固定資産 | 第四種事業 |
| 本業とは独立して仕入れ、販売する中古品 | 販売先や形状変更の有無により第一種・第二種など |
同じ「雑収入」であっても、余剰の棚卸資産の売却なども含めて、何を売ったのかを分けて確認する必要があります。建設現場から生じた廃材については、発生経緯、工事契約、廃材の性質、継続的な処理方法などを確認して事業区分を判断します。
仕入割戻しは売上げと同じ消費税処理ではない
仕入先から受け取った金銭も、すべて課税売上げになるわけではありません。
例えば、仕入数量や仕入金額に応じて受け取る仕入割戻し、販売奨励金、早期支払による仕入割引などは、消費税上「仕入れに係る対価の返還等」に該当する場合があります。この場合、原則課税では、受け取った課税期間において、その金額に対応する消費税額を仕入控除税額から控除する調整を行います。
法人税上は雑収入として計上する方法のほか、仕入高から控除する処理も考えられますが、消費税区分まで通常の課税売上げと同じにしないよう注意が必要です。リベートについては、次の事項を確認しましょう。
- どの仕入取引に関連して支払われたか
- 仕入数量・金額を基準としているか
- 販売促進サービスの対価ではないか
- 支払通知書や計算明細が保存されているか
- 仕入先との契約書に支払条件が記載されているか
- 会計処理と消費税申告の調整が一致しているか
名称が「協力金」「奨励金」「謝礼金」となっていても、名称だけでは税務処理を判断できません。
申告漏れを指摘された場合の影響
廃材売却代金の申告漏れを指摘された場合、会社には法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税などの追加負担が生じる可能性があります。課税事業者であれば、消費税および地方消費税の修正も必要となることがあります。
さらに、代表者が売却代金を私的に使用していた場合には、役員給与または役員貸付金などの追加論点が生じます。役員給与とされた場合には、源泉所得税の徴収漏れや、法人税上の損金不算入が問題になる可能性があります。
修正申告により追加納税が生じると、過少申告加算税や延滞税が課されることがあります。過少申告加算税の割合は、修正のタイミングによって次のように変わります。
| 修正申告のタイミング | 原則 | 加重される部分(※) |
|---|---|---|
| 調査の事前通知より前に自主的に修正 | 課されない | - |
| 事前通知後・更正を予知する前に修正 | 5% | 10% |
| 更正を予知した後に修正、または更正を受けた | 10% | 15% |
※ 新たに納付することになった税額のうち、期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分について適用されます。
延滞税は、令和8年中の期間について、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、それ以後が年9.1%です。実際の適用期間や納期限によって計算が異なります。
帳簿や買受明細書を意図的に隠した、二重帳簿を作成した、売却記録を破棄した、代表者口座への入金を会社収入ではないように仮装したなど、隠蔽・仮装と認められる事実がある場合には、過少申告加算税に代えて、原則35%の重加算税が課される可能性があります。
ただし、単純な経理ミスや税務判断の誤りがあっただけで、直ちに重加算税が課されるわけではありません。重加算税の適用は、記録の作成・保存状況、申告漏れを認識していたか、説明内容、資金の使用状況などを踏まえて個別に判断されます。
税務調査前にできる対応
本業外収入の申告漏れを防ぐには、決算時だけでなく、日常の管理方法を整えることが重要です。
廃材の売却先を会社で管理する
現場担当者が自由に売却先を選ぶのではなく、会社が承認した廃材業者を利用する仕組みにします。会社名、所在地、担当者名を廃材業者へ伝え、買受明細書も会社名義で発行してもらいましょう。
売却代金は会社口座へ入金する
できる限り、廃材代金は会社名義の銀行口座へ振り込んでもらいます。現金で受け取る場合には、受取当日または社内規程で定めた期限までに会社へ入金し、現金出納帳へ記録します。受け取った現金を、そのまま現場経費や飲食代へ使用する運用は避けた方が管理しやすくなります。
買受明細書と計量票を保存する
会計処理には、少なくとも次の資料を添付します。
- 買受明細書、計量票、現金受取書、振込明細
- 廃材の種類が分かる資料
- 売却した現場名、売却担当者、売却日
- 会社への入金日、会計伝票番号
電子メールや廃材業者のWeb画面で受け取った明細については、電子取引データとして電子帳簿保存法に対応した方法で保存する必要があります。
現場別に廃材売却記録を作る
建設業や設備工事業では、現場別の工事台帳へ廃材売却の有無を記録すると確認しやすくなります。工事原価だけでなく、現場から生じた付随収入も把握することで、現場別の実際の採算も明確になります。
個人口座への入金を早めに確認する
代表者や従業員の口座へ会社に関係する売却代金が入金されている場合には、税務調査の直前まで放置しないことが重要です。次の事項を整理し、必要に応じて修正申告を検討します。
- 入金日、入金額
- 売却した資産、資産の所有者
- 代金の使用先、会社へ返金した金額
- 法人税・消費税への影響
- 役員給与・役員貸付金への該当可能性
前の表のとおり、調査の事前通知より前に自主的に修正申告をすれば過少申告加算税は課されないのが原則です。誤りに気づいた時点で早めに対応するほど、負担を抑えられる可能性があります。
本業外収入の年次確認表を作る
決算前には、通常の売上高だけでなく、次の入金がなかったかを確認しましょう。
| 確認する入金 | 主な確認資料 | 消費税上の主な検討 |
|---|---|---|
| 鉄くず・廃材の売却 | 買受明細書、計量票 | 原則として課税売上げ |
| 機械・車両・工具の売却 | 売買契約書、固定資産台帳 | 原則として課税売上げ |
| 仕入割戻し・数量リベート | 支払通知書、仕入契約書 | 仕入れに係る対価の返還等の可能性 |
| 保険金・共済金 | 保険会社の支払通知書 | 一般に消費税の課税対象外 |
| 補助金・助成金 | 交付決定通知書、入金通知 | 一般に消費税の課税対象外 |
| 損害賠償金 | 合意書、判決・和解書 | 内容によって課税関係が異なる |
| 自動販売機・駐車場収入 | 契約書、精算書 | 原則として課税売上げとなる可能性 |
| 預金利息 | 預金通帳 | 非課税売上げ |
雑収入勘定の残高だけを確認するのではなく、銀行口座への入金、現金取引、取引先から届いた通知書を照合することが重要です。
まとめ
会社の工事や製造工程から発生した鉄くず、銅線、加工くず、余剰資材などを売却した場合、その代金は、原則として会社の収入として計上する必要があります。代表者や従業員が現金で受け取り、そのまま経費や私的支出へ使用しても、売却収入を相殺することはできません。
課税事業者の場合、廃材の売却は原則として消費税の課税売上げとなります。簡易課税制度を適用している場合には、加工くず、不要物品、固定資産の売却で事業区分が異なることがあるため、雑収入を一括して同じ事業区分にしないよう注意が必要です。
また、仕入割戻し、保険金、補助金などは、同じ雑収入であっても消費税上の取扱いが異なります。
税理士法人アストラストでは、鉄くず・廃材の売却記録、個人口座への入金、仕入先からのリベート、保険金・補助金などの本業外収入について、法人税・消費税・源泉所得税への影響を確認しています。
岡山県内で建設業、製造業、設備工事業、解体業などを営み、廃材代金を現金で受け取っている会社や、雑収入の消費税区分が整理できていない会社は、税務調査の連絡を受ける前、または次回の決算を確定する前にご相談ください。
※本記事は令和8年7月27日現在の法令、通達および国税庁公表資料を確認して作成した一般的な説明です。実際の収入帰属、計上時期、消費税区分、簡易課税の事業区分、役員給与・役員貸付金の取扱い、加算税の適用は、契約内容、廃材の所有関係、売却方法、帳簿の保存状況、資金の使用状況などによって異なります。
参考資料
- 国税庁「No.6303 消費税および地方消費税の税率」
- 国税庁「No.6157 課税の対象とならないもの(不課税)の具体例」
- 国税庁「No.6509 簡易課税制度の事業区分」
- 国税庁「No.6509 簡易課税制度の事業区分(Q&A)」
- 国税庁「消費税法基本通達 第2節 事業区分の判定」(13-2-8 加工くず等の売却収入の事業区分)
- 国税庁「No.6363 値引き、返品、割戻しなどが行われた場合の税額の調整(仕入れに係る対価の返還等)」
- 国税庁「法人税基本通達 第1款 収益の計上に関する通則」
- 国税庁「法人税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
- 国税庁「法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
- 国税庁「No.9205 延滞税について」